非営利団体にとって、限られた予算内でいかに効率よく運営を行うかは大きな課題です。その有効策となるのが、Googleが提供するGoogle Workspace for Nonprofitsです。
本記事では、Google Workspace for Nonprofitsの条件や機能、注意点に至るまで徹底解説します。
Google for Nonprofits(非営利団体向けプログラム)とは?
まず理解しておくべきなのは、「Google for Nonprofits」は、Googleが非営利団体に提供する支援プログラムの総称であり、「Google Workspace for Nonprofits」は、そのサービスの一部であるということです。
Google for Nonprofitsには、以下の4つの主要な支援が含まれています。
- Google Workspace for Nonprofits:組織内コミュニケーション・コラボレーションツール(今回メインで解説)。
- Google Ad Grants:月額最大10,000ドル分の検索連動型広告が無償提供される、認知拡大のためのツール。
- YouTube 非営利プログラム:動画上の寄付機能や、制作サポートなどが受けられるプログラム。
- Google Maps Platform:活動マップの作成などに使えるクレジット付与。
つまり、アカウントを取得することで、業務効率化だけでなく、広報や資金調達の支援も同時に受けられる仕組みになっています。
Google Workspace for Nonprofitsとは?
Google Workspace for Nonprofitsは、企業向けに提供されているクラウド型グループウェア「Google Workspace」を、適格な非営利団体に対して無料(Business Standardなどは割引料金)で提供するプランです。
提供される主なツール
組織の独自ドメインを使用して、以下のツールを利用できます。
- Gmail:広告なしのビジネス用メール
- Google ドライブ:ファイルの保存・共有
- Google Meet:ビデオ会議
- Google カレンダー:スケジュール管理
- ドキュメント / スプレッドシート / スライド:共同編集可能なオフィスソフト
- AppSheet Core:業務アプリケーションの構築
利用できる団体の条件
日本における対象法人
一般的に、以下の法人格を持つ団体が対象となります。
- 公益社団法人
- 公益財団法人
- 特定非営利活動法人
- 社会福祉法人
- 一般社団法人
対象外となるケース
たとえ非営利活動を行っていても、以下は原則として対象外です。
- 政府機関・自治体
- 病院・医療機関(慈善活動部門などは例外あり)
- 学校・教育機関(Google Workspace for Educationという別プログラムが用意されています)
Business Starterとの違い
Google Workspace for Nonprofitsは、有料の最安プランであるBusiness Starterの機能を基本に、非営利団体向けにカスタマイズされています。
| 比較項目 | Business Starter | Nonprofits |
|---|---|---|
| 月額料金 | ¥800/1人 | ¥0 |
| ユーザー数 | 最大300人 | 最大2,000人 |
| ストレージ | 30GB/1人 | 100TB/組織全体 |
| Meet参加人数 | 最大100人 | 最大150人 |
- ユーザー数(ライセンス数):新しいアカウントは最大300人、増加をリクエストすれば最大2,000人のユーザーを追加できます。
- ストレージ容量:個人ごとの制限ではなく、組織全体で共有する形です。
知っておくべき機能的な注意点
「無料」であるため、上位の有料プラン(Business Standardなど)と比較して、いくつかの機能制限があります。
- Google Meetの録画ができない:無料のNonprofitsプランでは、Google Meetの録画機能やGemini機能(会議の自動メモ作成など)が利用できません。
- セキュリティ機能の一部制限:高度なエンドポイント管理(組織支給デバイスの制御など)や、データ損失防止(DLP)などの高度なセキュリティ機能は含まれていません。
- ドメインの所有が必須:利用には団体独自のドメインを所有している必要があります。
コストゼロでDXを実現
Google Workspace for Nonprofitsは、対象となる団体であれば導入しない理由がないほど魅力的なサービスです。
もし貴団体がNPO法人や社会福祉法人であれば、ぜひ導入を検討してみてください。このツールは、社会課題の解決に向かう皆さんの時間を、「事務作業」から「本来の活動」へとシフトさせてくれるはずです。

