Google Workspaceは、メール・チャット・カレンダー・ビデオ会議など、現代のビジネスシーンに不可欠な機能を備えたクラウドベースのコラボレーションツールです。しかし、ユーザー数が1~300人の中小企業向けに設計された「Business」エディションには3つのプランがあり、自社にどれが最適か迷う担当者の方も少なくありません。
本記事では、Google Workspaceの「Business Starter」「Business Standard」「Business Plus」の3つのプランについて比較・解説します。
各プランの概要
まずは、各プランがどのようなニーズを対象としているかを簡潔にご紹介します。
Business Starter
ユーザー1人あたり30GBのストレージ容量を備えた、最も基本的なエントリープランです。独自ドメインのGmail(例:name@yourcompany.com)、ビデオ会議(Meet)、クラウドストレージ(Drive)、共同編集ドキュメント(Docs, Sheets, Slides)など、ビジネスに必要な基本機能が低コストで利用できます。
Business Standard
ユーザー1人あたり2TBのストレージ容量を備えた、中小企業に最も人気の高い標準プランです。Starterの全機能に加え、ストレージ容量が大幅に増加し、Google Meetの高度な機能(録画、ノイズキャンセルなど)が追加されます。チームの生産性を本格的に高めたい企業向けです。
Business Plus
ユーザー1人あたり5TBのストレージ容量を備えた、セキュリティとコンプライアンスを強化した上位プランです。Standardの全機能に加え、さらに大容量のストレージと、高度なセキュリティ機能(Vaultによるデータの保持・検索)、高度なデバイス管理(MDM)が提供されます。規制の厳しい業界や、情報漏洩対策を万全にしたい企業に最適です。
各プランの比較
3つのプランの主な違いは、「ストレージ」「Meetの機能」「セキュリティ」にあります。それらを踏まえ、以下の比較表で機能の違いを確認しましょう。
Starter | Standard | Plus | |
---|---|---|---|
ユーザー1人あたりの月額 (1年契約の場合) | ¥800 | ¥1600 | ¥2500 |
Google ドライブ | |||
ストレージ | 30GB | 2TB | 5TB |
共有ドライブ | △(制限あり) | ○ | ○ |
電子署名 | × | ○ | ○ |
Google Meet | |||
参加人数 | 最大100人 | 最大150人 | 最大500人 |
会議の録画 | × | ○ | ○ |
ノイズキャンセル | × | ○ | ○ |
会議ツール (Q&Aなど) | × | ○ | ○ |
出欠状況の確認 | × | × | ○ |
セキュリティ・管理 | |||
Vault (電子情報開示とアーカイブ) | × | × | ○ |
高度なエンドポイント管理 | × | × | ○ |
Google カレンダー | |||
予約スケジュール機能 | △(基本機能のみ) | ○ | ○ |
Google Vids | |||
生成AI機能 | △(期間限定) | ○ | ○ |
Gemini | △(制限あり) | ○ | ○ |
スタンダード サポート | ○ | ○ | ○ |
各プランごとのおすすめ企業例
機能比較だけではイメージしにくいかもしれませんので、具体的な企業像に当てはめて、最適なプランを選択しましょう。
Business Starterがおすすめの企業
- 従業員数名の企業
- 「まずは独自ドメインのメールが欲しい」という企業
- 主な用途がコミュニケーション(メール・チャット・カレンダー)と社内ドキュメント共有で、大容量ファイルは扱わない企業
Business Standardがおすすめの企業
- ほとんどの中小企業(10名〜100名規模)
- Web会議(Meet)を多用し、会議の録画や議事録作成を効率化したい企業
- 動画・画像・設計図など、大容量ファイルをクラウドで扱いたい企業
- 社外向けの「予約スケジュール機能」を使いたい企業
Business Plusがおすすめの企業
- 法務・コンプライアンス対応が必須の企業
- 訴訟などに備え、メールやチャットのログを長期間保持・検索する必要がある企業
- 従業員が使用するモバイルデバイス(スマホ、タブレット)を会社が厳格に管理・保護したい企業
- 情報セキュリティ体制を対外的にアピールする必要がある企業
各プランの違いを簡潔に述べる
3つのBusinessプランの決定的な違いは、以下の3点に集約されます。
1. ストレージ容量
- Starter (30GB): 基本的。無料Googleアカウントで利用できる容量の2倍。
- Standard (2TB): 大容量。ほとんどの業務で不足しない。
- Plus (5TB): 超大容量。動画や3Dデータなどを扱う企業向け。
2. Web会議(Google Meet)の機能
- Starter: 録画ができません。
- Standard / Plus: 会議の録画やGeminiが利用可能になり、議事録作成や情報共有が格段に楽になります。
3. セキュリティとコンプライアンス(Vault)
- Starter / Standard: 標準的なセキュリティです。
- Plus: 「Vault(ヴォルト)」が追加されます。これにより、万が一の法的トラブルや内部監査の際に、削除されたメールやチャットも含む全データを検索・保持できます。これはPlusを選ぶ最大の理由の一つです。
あなたの会社に最適な選択を
自社の事業規模、データの取り扱い量、「Web会議の録画」と「高度なセキュリティ」が必要かどうかなど、各プランの特徴を理解したうえで、自社に最適なプランを選びましょう。
また、Google Workspaceは(契約内容によって)契約後でもプランをアップグレード / ダウングレードすることが可能です。まずは「今」必要な機能でスタートし、企業の状況に合わせてプランを見直していくのも賢明な方法です。